予算別ローカルLLM PC 2026。10万・30万・60万・100万円で何が動くか

予算別ローカルLLM PC 2026。10万・30万・60万・100万円で何が動くか

ローカルLLM用のPCは何を買えばよいのか。この問いには、スペックの議論より先に予算を決めるのが一番の近道です。予算を決めれば構成はほぼ決まるためです。本記事では、10万・30万・60万・100万円の4つの予算帯それぞれの現実解を、実勢価格の目安つきで整理します。価格はすべて2026年7月執筆時点の実勢目安です。DRAM・GPU価格の変動が大きい時期のため、購入前には必ず最新価格をご確認ください。

この記事の要点

  • 予算10万円なら中古RTX 3060 12GB+現有PCで7〜14Bクラス、30万円ならRTX 5060 Ti 16GB構成かMac mini(M4 Pro・メモリ64GB)で27Bクラスまでが動きます
  • 本命は60万円帯です。速度重視なら24GB GPU構成(32Bクラスを毎秒40〜50トークン)、容量重視なら統合メモリ128GB機(約33万円〜)で100B超のMoEモデルが動きます
  • 100万円で24GB GPU×2(計48GB)の自作かMac Studio(M3 Ultra・96GB以上)となり、70Bクラスが視野に入ります
  • 選び方の正しい順番は「使いたいモデルを決める→必要メモリを確認する→予算帯を選ぶ」の逆算です。「良いPCを買ってから考える」は失敗パターンです

予算帯サマリー(まずこの表だけ見れば決まります)

先に結論の表を置き、あとから各帯の根拠を説明します。

予算構成の現実解動くモデル向く人
10万円中古RTX 3060 12GB+現有PC7〜14Bまず試したい個人
30万円RTX 5060 Ti 16GB新品構成 or Mac mini(メモリ盛り)〜27B実務で日常使いしたい人
60万円24GB GPU構成 or 統合メモリ128GB機32B快適 or 100B超MoE本命帯。用途で二択
100万円24GB×2の自作 or Mac Studio70Bクラス部門サーバー・検証環境

どの帯でも共通する原則は1つです。使いたいモデルを先に決めて、そこから逆算することです。どのメモリ容量で何が動くかは『[2026年7月更新] ローカルLLM必要VRAM早見表。あなたのPCで動くモデル』と突き合わせて確認してください。

予算10万円のローカルLLM PC: まず動かす構成

  • 構成例: 中古RTX 3060 12GB(3万円前後)+手持ちのデスクトップPC、または中古ゲーミングPC一式
  • 動くモデル: Qwen3.5 9BやGemma 4 12Bクラスまで

この帯で大事なのは、無理をしないことです。7〜14Bクラスは要約・文章作成・簡単な質問応答なら十分実用ですが、複雑な推論や長文の精度は上位モデルに劣ります。「ローカルLLMがどんなものか」を確かめる入口としては最良のコスパです。

予算30万円のローカルLLM PC: 実務入門の二択

この帯は二択になります。

選択肢構成価格の目安動くモデル
ARTX 5060 Ti 16GB構成(自作・BTO)GPU実売8〜9万円前後+本体で計20〜25万円20Bクラス(gpt-oss 20B等)までが実用圏
BMac mini(M4 Pro・メモリ64GB)30万円強27Bクラスまで視野

分岐基準はシンプルです。Windows資産やゲーム用途があるならA、静かなデスク常設機・省電力を優先するならBを選びます。性能面では、Aが生成速度で勝り、Bが扱えるモデルサイズで勝ります。Mac mini構成は静音・省電力・省スペースという点で、オフィスに常設する1台としても向いています(MacでのスモールスタートはMacで始める社内専用AI導入支援でも扱っています)。

予算60万円のローカルLLM PC: 本命帯(速度か容量かの二択)

このクラスから、「速度のGPU」と「容量の統合メモリ」という対立軸が明確になります。

選択肢構成価格の目安特徴
A: 24GB GPU構成中古RTX 3090や上位GPU中古3090は12〜15万円前後(高騰中)32Bクラスを快適に。生成速度重視
B: 統合メモリ128GB機Ryzen AI Max+ 395搭載ミニPCGMKtec EVO-X2が約33万円、MINISFORUM MS-S1 MAXが約41万円gpt-oss 120BやQwen3.5 122B-A10BといったMoE大型モデルが動く

Aはメモリ帯域が約1TB/s級で、32Bクラスを毎秒40〜50トークンで回せます。Bは帯域が256GB/s級のため高密度モデルは遅くなりますが、活性パラメータの小さいMoEモデルなら実用速度が出ます。この帯域の理屈は『ローカルLLMの速度はメモリ帯域で決まる。スペック表の正しい読み方』で解説しています。

判断基準は次の通りです。32Bまでの高密度モデルを速く回すならA、100B超MoEの知能を安く手に入れるならBです。

予算100万円のローカルLLM PC: 部門サーバー級

  • 選択肢A: 24GB GPU×2(計48GB)の自作構成。中古3090×2なら70B Q4が動く定番構成です。ただし電源1,000W級・排熱・設置場所の確保が必要になります
  • 選択肢B: Mac Studio(M3 Ultra・96GB以上)。静音のまま70Bクラスと大型MoEの両方を狙えます

ここから先は個人の趣味を超えて業務用です。部門で共有するなら、本体価格に加えて運用体制の設計が必要になります(運用担当者の問題は『導入したローカルLLM、誰が維持するのか』で扱っています)。導入費用全体の考え方は『ローカルLLM導入費用の実額内訳。PoC300万円〜本番1,500万円の中身を開示する』を参照してください。本格的なGPUサーバー構成を検討する段階であれば、ローカルLLM導入支援の範囲になります。

買う前の注意3点

  1. 価格変動が激しい: DRAM高騰の影響でGPU・メモリとも価格が動いています。この記事の価格は執筆時点の目安であり、購入直前の再確認が必須です
  2. TOPS・NPUの数字は見ない: 「AI PC」のNPU性能はローカルLLMの速度にほぼ寄与しません。理由は『「Copilot+ PCならローカルLLMが速い」は誤解。NPUとLLMの本当の関係』で解説しています
  3. モデルから逆算する: 「良いPCを買ってから何を動かすか考える」は失敗パターンです。使いたいモデルを決め、VRAM早見表で必要容量を確認し、予算帯を選ぶ順番です

購入前チェックリスト

発注ボタンを押す前に、次の項目が埋まっているかを確認してください。

  • 使いたいモデルを先に決めた(「良いPCを買ってから考える」になっていない)
  • そのモデルに必要なメモリ容量(VRAM/統合メモリ)を確認した
  • 速度重視(32Bまでの高密度モデル)か容量重視(100B超MoE)かを決めた
  • Windows資産・ゲーム用途の有無、静音・省電力の優先度を整理した(30万円帯の分岐基準です)
  • 設置場所・電源・排熱を確認した(24GB GPU×2構成は電源1,000W級が必要です)
  • 部門で共有する場合は運用体制を検討した
  • TOPS・NPUの数字で選んでいないか見直した
  • 購入直前に最新の実勢価格を再確認した(DRAM・GPU価格の変動が大きい時期です)

まとめ

  • 10万円=中古12GB GPUで7〜14B、30万円=16GB GPUかMac miniで〜27Bが動きます
  • 60万円が本命帯です。速度なら24GB GPU、容量なら統合メモリ128GB機(約33万円〜)で100B超MoEが動きます
  • 100万円で48GB構成かMac Studioとなり、70Bクラスが視野に入ります
  • 価格は変動が大きいため執筆時点の目安として使い、購入前に再確認してください
  • 順番は「モデル決定→必要メモリ確認→予算帯選択」の逆算です

よくある質問

Q. ローカルLLM用のPCはいくらから用意できますか?

10万円から用意できます。中古RTX 3060 12GB(3万円前後)を手持ちのデスクトップPCに追加するか、中古ゲーミングPC一式を購入する構成で、Qwen3.5 9BやGemma 4 12Bといった7〜14Bクラスのモデルが動きます。要約・文章作成・簡単な質問応答なら十分実用で、ローカルLLMの入口として最良のコスパです。

Q. 予算30万円ではGPU搭載PCとMac miniのどちらが良いですか?

Windows資産やゲーム用途があるならRTX 5060 Ti 16GB構成(GPU実売8〜9万円前後+本体で計20〜25万円)、静かなデスク常設機・省電力を優先するならMac mini(M4 Pro・メモリ64GB、30万円強)です。生成速度はGPU構成が勝り、扱えるモデルサイズはMac miniが勝ります(GPU構成は20Bクラス、Mac miniは27Bクラスまで視野です)。

Q. MacでローカルLLMは実用になりますか?

なります。Mac mini(M4 Pro・メモリ64GB)で27Bクラスまで、Mac Studio(M3 Ultra・96GB以上)なら70Bクラスと大型MoEの両方を静音のまま狙えます。静音・省電力・省スペースのため、オフィス常設機に向いています。Mac 1台から始める構成はMacで始める社内専用AI導入支援を参照してください。

Q. 70BクラスのローカルLLMを動かすにはどんなPCが必要ですか?

予算100万円帯が目安です。中古RTX 3090×2(計48GB)の自作構成が70B Q4の動く定番で、電源1,000W級・排熱・設置場所の確保が必要です。静音を優先するならMac Studio(M3 Ultra・96GB以上)でも70Bクラスを狙えます。この規模は個人の趣味を超えて業務用のため、部門共有なら運用体制の設計も必要になります。

Q. 統合メモリ128GBのミニPCでローカルLLMは速く動きますか?

モデルによります。Ryzen AI Max+ 395搭載機(GMKtec EVO-X2が約33万円、MINISFORUM MS-S1 MAXが約41万円)はメモリ帯域が256GB/s級のため、高密度モデルは遅くなります。一方、gpt-oss 120BやQwen3.5 122B-A10Bのような活性パラメータの小さいMoEモデルなら実用速度が出ます。帯域と速度の関係は『ローカルLLMの速度はメモリ帯域で決まる』で解説しています。

Q. Copilot+ PC(NPU搭載のAI PC)ならローカルLLMは速くなりますか?

ほぼ速くなりません。「AI PC」が謳うTOPS・NPUの性能はローカルLLMの速度にほとんど寄与しないため、PC選びの指標にしないでください。理由は『「Copilot+ PCならローカルLLMが速い」は誤解』で解説しています。

Q. ローカルLLM用PCを買う前に何を確認すべきですか?

順番は「使いたいモデルを決める→必要なメモリ容量を確認する→予算帯を選ぶ」の逆算です。「良いPCを買ってから何を動かすか考える」は失敗パターンです。あわせて、DRAM高騰の影響でGPU・メモリ価格の変動が大きい時期のため、購入直前の実勢価格の再確認が必須です。

主な参考資料: GPU price tracking(Tom’s Hardware)RTX 5060 Ti 16GB Price Tracker(Best Value GPU)Used RTX 3090 vs RTX 5060 Ti for LLMs(Compute Market)

TodoONadaでは、ローカルLLM・生成AIの導入判断からPoC・構築までを支援しています。用途のヒアリングからモデル・機材を逆算して選定するほか、「買う前に借りて試す」ための検証環境の提供・構築、社内展開を見据えたサーバー構成・運用設計まで対応します。まずは30万円・2週間規模のミニ検証からで構いません。高い機材を買って後悔する前に、用途に本当に必要な構成を確かめるところからでもご相談ください。


この記事に関連するサービス

TodoONada株式会社では、機密データを外部に出さないローカルLLMの導入支援を行っています。

導入・開発のご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。検討段階のご相談も歓迎です。

出典・参照

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