社内生成AI利用規程のひな形2026。JDLAと経産省の使い分け、入力してよい情報の線引き表、ローカルLLM前提で緩められる条項

社内生成AI利用規程のひな形2026。JDLAと経産省の使い分け、入力してよい情報の線引き表、ローカルLLM前提で緩められる条項

「生成AIの利用規程を作ってほしい」という依頼は、情シスや総務に突然降ってきます。しかも期限は短く、参考にできる社内文書はありません。ゼロから条文を書こうとすると、禁止事項ばかりが並んだ文書になり、公開した日から守られなくなります。

本記事では、公開されているひな形を土台に、実態に合った利用規程を短期間で作る手順を整理します。JDLAのひな形で条文を作り、経済産業省のAI事業者ガイドラインで運用の漏れを点検する使い分け、規程に入れる条項の全体構成、データ区分と利用環境の線引き表、2023年のひな形に追加すべき項目、閉域のローカルLLMを前提にしたときに緩められる条項と緩められない条項、主要条項の条文例まで扱います。なお、本記事は法的助言ではありません。ひな形と条文例は、自社の法務担当や顧問弁護士・社労士の確認を経てから配布してください。

この記事の要点

  • 利用規程はゼロから書かず、JDLA「生成AIの利用ガイドライン」第1.1版で条文を作り、経産省「AI事業者ガイドライン」第1.2版のチェックリストで体制・教育・記録の漏れを点検する二段構えが最短です
  • 規程の中核は「会社発行アカウントに限定する」と「入力してよい情報の区分を環境ごとに明示する」の2点で、この2つが明文化されていれば事故の大半は防げます
  • 2023年のひな形には、法人・個人プランの区別、標準設定、ファイル連携、AIエージェントの実行権限、契約済みSaaSのAI機能、事故窓口など8項目を書き足す必要があります
  • 閉域のローカルLLMを公式ルートに加えると入力制限は緩められますが、誤回答の確認、著作権、アクセス権、ログの条項は緩められません
  • 規程は本文と1枚の早見表、短い説明会を一組で出し、半年ごとに見直します。文書を作って終わりにすると形骸化します

利用規程がないと何が起きるか(禁止一辺倒と放任の両方の失敗)

利用規程がない会社で起きることは2通りです。1つは「とりあえず禁止」で、業務での生成AI利用を一律に止めるケースです。表向きは止まりますが、便益を知っている社員は私用アカウントや私用スマホから使い続けます。会社の環境を経由しない利用は技術的に見えないため、最も機密度の高い情報が管理外に流れます。この構造は『シャドーAI対策2026』で詳しく扱っています。

もう1つは「放任」です。禁止もしないが許可もせず、各自の判断に任せる状態です。この場合、同じ会社の中で個人向けプランと法人契約が混在し、どの会話が学習に使われ、どこに保持されているかを誰も把握できません。個人情報保護委員会は2023年6月の注意喚起で、個人情報を含むプロンプトの入力は利用目的の範囲内であることを確認するよう事業者に求めています。放任は、この確認を会社として行っていない状態です。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されました。禁止一辺倒も放任も、このリスクへの対処として機能しません。必要なのは「この条件なら会社として使ってよい」と示す規程です。

ひな形の選び方。JDLAで作り、経産省のチェックリストで点検する

無料で使える公的・業界団体の資料は複数ありますが、役割が違います。同じ用途に使おうとすると、どちらも中途半端になります。

資料役割向いている用途そのまま社内配布できるか
JDLA「生成AIの利用ガイドライン」第1.1版(2023年10月6日)組織向け利用ルールのひな形。入力データの懸念事項、個人情報・秘密情報の入力、著作物の利用、出力の権利帰属を扱う社員に配る利用規程の条文を作る自社向けの追加・修正が必要。JDLA自身が各組織の活用目的に照らして修正する前提で公開
JDLA「生成AIの利用ガイドライン」画像生成向けの編画像生成AIを使う場合の追加ルール画像生成を許可する会社の追加条項本文版と組み合わせて使う
経済産業省「AI事業者ガイドライン」第1.2版(2026年3月31日)AIを開発・提供・利用する事業者に求められる取り組みの整理。本編のほかチェックリスト・ワークシートがある責任者、教育、相談窓口、記録、見直しなど、文書以外の運用の漏れを点検する社員向け規程のひな形ではない

使い分けは次の順番です。

  1. JDLAのひな形を読みながら、自社で採用する条項を決める。JDLAには条項の意図を解説した版と条項だけの版があり、最初に解説付きで意図を確認してから、配布版を条項だけの版で整えると、禁止を増やしすぎずに済みます
  2. 画像生成を許可するなら、画像生成向けの編を追加する
  3. 最後に経産省のチェックリストで、責任者・教育・相談窓口・記録・見直しの漏れを確認する

JDLAが「文書を作るひな形」、経産省が「文書以外の運用も含めた点検表」です。どちらか一方だけで済ませると、条文はあるが窓口がない、体制はあるが社員が何を入力してよいか分からない、という抜けが生じます。

規程に入れる条項の全体構成(13条項)

ひな形を自社版に直す前に、最終的にどの条項が並ぶかを決めておくと、作業が止まりません。実務で必要になる条項を13に整理し、「誰が決めるか」を添えました。

#条項決める内容主担当
1目的業務での生成AI利用を安全に広げるための規程であること。禁止のための文書ではないと明記経営・情シス
2適用範囲正社員、役員、業務委託、派遣社員のどこまで対象か。私物端末・私用アカウントでの業務利用を含むか人事・法務
3用語の定義生成AI、会社発行アカウント、個人向けプラン、法人契約、社内専用AI(ローカルLLM)、AIエージェント情シス
4許可するサービスとアカウントサービス名・プラン・アカウント種別・標準設定を一組で列挙。会社発行アカウントに限定情シス
5入力してよい情報の区分データ区分ごとに、どの環境へ入力してよいかを表で明示(次節)法務・情シス
6禁止事項私用アカウントでの業務利用、区分外のデータ入力、出力の無確認転用、規程外サービスの業務利用法務・情シス
7出力の取り扱い社外文書・顧客向け文書・採用や評価・法務や医療分野での人間の確認義務各部門
8著作権と権利出力に第三者の著作物・商標・肖像が含まれる可能性の確認、出力の権利帰属の考え方法務
9個人情報の取り扱い利用目的の範囲内に限る。要配慮個人情報は原則禁止。委託先の学習利用の確認法務
10ログと監査会話履歴の保持期間、管理者が取得する監査ログの範囲、閲覧できる人情シス
11事故時の報告と初動報告先、初動の手順、懲戒の扱い。報告を妨げない書きぶりにする法務・人事
12教育入社時と年1回の研修。禁止事項だけでなく「使ってよい範囲」を伝える人事・情シス
13見直し規約改定と新サービス追加に合わせ、半年ごとに更新。改訂責任者と次回見直し日情シス

この中で要になるのは条項4と5です。「会社発行アカウントに限定する」と「入力してよい情報の区分を環境ごとに明示する」が明文化されていれば、事故の大半は防げます。逆に、この2つが曖昧なまま禁止事項だけを増やしても、現場は判断できません。

入力してよい情報の線引き表(データ区分 × 利用環境)

条項5の中身です。「個人情報は入力禁止」のように一律に書くと、法人契約で学習利用なしを確認した環境でも使えなくなり、業務効率が落ちます。データ区分と利用環境の組み合わせで可否を示すと、現場が迷いません。

データ区分例個人向けプラン(私用アカウント)法人契約のクラウドAI閉域のローカルLLM
公開情報公開済みの製品情報、プレスリリース、公開統計業務利用は不可(会社発行アカウントに限定するため)可可
社内一般情報議事録の下書き、社内手順書、公開前の企画メモ不可可(学習利用なし・保持期間を契約で確認した場合)可
個人情報顧客名簿、従業員情報、問い合わせ内容不可利用目的の範囲内で可。要配慮個人情報は原則不可。委託先の学習利用なしを確認可(利用目的の範囲内。アクセス権を部門別に設定)
機密情報未公開の財務情報、取引先との交渉内容、ソースコード不可契約条件次第。NDAで外部送信を禁じられた情報は不可可
社外送信が禁止された情報規制業種の機微情報、設計図面や製法、契約で外部保管を禁じられた受託データ不可不可可(これがローカルLLMを置く理由)

表を作るときの注意は3つあります。

  • 「法人契約なら何でも可」にしないことです。法人契約・APIは主要4社とも学習利用なしを公式に明記していますが、学習利用なしと保持なしは別です。たとえばOpenAI APIは学習には使いませんが不正監視ログを既定で最大30日保持します。保持期間と保存場所まで確認して可否を決めます。各社の公式資料に基づく整理は『生成AIの情報漏洩対策2026』の表を参照してください
  • 個人向けプランの列を「不可」で埋めるのは、学習利用の有無ではなく、会社が管理できないことが理由です。私用アカウントは監査ログも削除依頼も会社から行えません
  • 閉域のローカルLLMの列が「可」なのは、データが社内から出ないからです。ただし、社内の誰でも全文書を検索できる状態にすると、別の事故が起きます。アクセス権の条項は後述の「緩められない条項」で扱います

2023年のひな形に追加すべき8項目

JDLA第1.1版は今も有用ですが、公開後に生成AIの利用形態は大きく変わりました。少なくとも次の8項目は自社で書き足します。

追加・修正する項目決める内容2023年時点との違い
1. 対象者正社員、役員、業務委託、派遣社員のどこまで対象か業務委託先が自前のAIを使う場面が増えた
2. 許可サービスの記載方法サービス名だけでなく、法人・個人プランと利用アカウント種別を指定同じサービス名でもプランで入力データの扱いが違う
3. 入力情報の区分前節の線引き表を採用一律禁止から環境別の可否へ
4. 標準設定学習利用、会話履歴、保存期間、フィードバック送信の設定を指定個人向けプランは設定次第で学習利用の有無が変わる
5. ファイル・連携クラウドストレージ、メール、社内DBへ接続してよい条件AIがファイルを直接読む形が標準になった
6. AIエージェント外部送信・ツール実行・購入・削除をどこまで自動化してよいか。承認が必要な操作とログ文章生成だけのAIと、操作を実行するAIで事故の影響が違う
7. 契約済みSaaSのAI機能利用中のSaaSに後から追加されたAI機能の有無、送信先、無効化の可否許可した覚えのないAIが正規契約の中に入る
8. 運用事故窓口、利用申請、教育、改訂責任者、次回見直し日文書だけでは形骸化する

とくに項目2と4は一組で書きます。「ChatGPTの利用可」とだけ書くと、個人プランで学習利用の設定が有効なまま使われる余地が残ります。サービス名、プラン、アカウント種別、標準設定をまとめて記載してください。

項目6のAIエージェントも見落とせません。メール送信やファイル更新まで実行できるAIでは、誤った指示がそのまま社外に届きます。実行してよい操作、人の承認が必要な操作、操作ログの保存を別項目にします。項目7は『シャドーAI対策2026』の棚卸し手順と同じで、利用中のSaaSごとにAI機能の有無と送信先を確認します。

閉域ローカルLLMを前提に緩められる条項と、緩められない条項

公式ルートに閉域のローカルLLMを加えると、規程の一部は緩められます。社外に出せないデータを扱う部門にとって、これが「公認の道」になります。ただし、緩められる条項と緩められない条項を取り違えると、「ローカルだから何をしてもよい」という誤解が広がります。

条項緩められるか理由
入力してよい情報の区分緩められるデータが社内から出ないため、社外送信禁止のデータも入力できる
学習利用・保持期間の確認緩められる外部事業者への送信がないため、委託先の確認が不要になる
出力の確認義務緩められないローカルでも誤回答は起きる。社外文書・顧客向け文書・採用や評価での人間の確認は同じ
著作権と権利緩められない出力に第三者の著作物が含まれる可能性はモデルの置き場所と無関係
アクセス権むしろ厳しくなる社内文書を検索できるRAG構成では、部門別の閲覧権限を文書側と同じにしないと、権限外の情報が回答に混ざる
ログと監査緩められない誰が何を入力したかは社内で記録し、保持期間と閲覧者を決める。社内完結でも「残らない」のではなく「社内に残る」
推論サーバーの運用新たに必要認証のない推論サーバーの露出、持ち込んだモデルファイルの検証、脆弱性修正の適用

緩められない条項と新たに必要になる条項の中身は、『ローカルLLMは本当に安全か』で7つのリスクとして整理しています。インターネットにつながない構成の作り方は『生成AIをオフラインで使う2026』を参照してください。規程の側では、「社内専用AI」を用語として定義し、入力区分の表に列を1本追加するのが最小の対応です。

ひな形の条文例(主要条項)

自社版を作るときの出発点として、主要条項の定型文を示します。社名・サービス名・窓口名は仮置きです。配布前に必ず法務担当や顧問弁護士・社労士の確認を受けてください。

第1条(目的) 本規程は、当社の役員および従業員等が業務において生成AIサービスを利用する際の基準を定め、情報の漏えい、権利侵害、誤った情報の利用を防ぎつつ、業務での活用を推進することを目的とする。

第2条(適用範囲) 本規程は、当社の役員、従業員、派遣社員および当社の業務に従事する業務委託先の担当者に適用する。私物の端末および個人名義のアカウントを用いた業務利用も本規程の対象とする。

第4条(利用を許可するサービス) 業務で利用できる生成AIサービスは、別表1に定めるものに限る。別表1には、サービス名、契約プラン、利用アカウントの種別および標準設定を記載する。利用は当社が発行したアカウントに限り、個人名義のアカウントによる業務利用を禁止する。

第5条(入力できる情報) 生成AIサービスへ入力できる情報は、別表2の情報区分と利用環境の組み合わせにおいて「可」と定めたものに限る。区分の判断に迷う場合は、入力前に相談窓口に確認する。

第7条(出力の取り扱い) 生成AIの出力を社外向け文書、顧客への回答、採用・人事評価、法務・医療・安全に関わる判断に用いる場合は、担当者が内容の正確性および第三者の権利を侵害していないことを確認したうえで使用する。

第10条(ログと監査) 当社は、当社が発行したアカウントによる生成AIサービスの利用について、別表3に定める範囲で利用記録を取得し、別表3に定める期間保存する。利用記録の閲覧は、情報システム部門および監査部門の指定された担当者に限る。

第11条(事故時の報告) 本規程に反する入力を行った、または行った可能性があると気づいた者は、速やかに相談窓口へ報告する。自発的な報告は、その事実をもって不利益に取り扱わない。

条文は短く保ち、具体例は別表と早見表に逃がします。本文に具体例を詰め込むと、サービスの追加や規約改定のたびに本文を改訂することになります。

ひな形を自社版へ直す5手順

手順1. 現在使われているAIを棚卸しする

会社が契約したサービスだけでなく、個人アカウント、ブラウザ拡張、議事録AI、画像生成、開発支援AI、契約済みSaaSのAI機能まで確認します。実態を知らずに作った規程は、公開した日から守れません。棚卸しは処罰から入らず、「この期間の申告は不問にする」形で集めると実態が出てきます。

手順2. 先に5つの判断をする

許可するサービスとアカウント、入力禁止の区分、標準設定、出力確認の範囲、事故窓口の5つを先に決めます。この5つが決まっていないと、条文の編集で手が止まります。判断の材料は『社内向け生成AI導入の手順2026』のStep2とStep6にまとめています。

手順3. 「残す・削る・足す」で編集する

ひな形の全文を先頭から書き換えるより、各条項に「残す」「削る」「自社情報を足す」の印を付けます。法律用語を増やすより、社員が迷う具体例を別表に足すほうが実務では効きます。

手順4. 3人でレビューする

最低でも、業務を知る利用部門、システム・セキュリティ担当、経営判断ができる責任者の3人で確認します。個人情報や契約条件が複雑な場合は、顧問弁護士や社労士にも確認します。

手順5. 本文と1枚の早見表を同時に出す

規程だけを配布しても、日常業務では読まれません。「使ってよいAI」「入力してよい情報」「社外公開前の確認」「事故窓口」を1枚にまとめ、短い説明会とセットで公開します。

避けたい使い方3つ

  • 社名だけ変えて配布する。実際の契約プランや設定と一致せず、事故時に判断できません。別表1と別表2が自社の実態と一致しているかが、規程の価値を決めます
  • すべて禁止する。私用アカウントへ利用が移り、会社から見えないシャドーAIが増えます。禁止は「公認の道」とセットでなければ機能しません
  • 文書を作って完了にする。研修、相談窓口、アカウント管理、半年ごとの更新がなければ形骸化します。経産省のチェックリストはこの部分の点検に使います

規程は利用を止めるための文書ではなく、「この条件なら会社として使ってよい」と示す交通ルールです。短くても、実態と一致し、更新される文書のほうが機能します。

利用規程の導入チェックリスト

  • 利用中のAI(個人アカウント、ブラウザ拡張、SaaS内AI機能を含む)を棚卸しした
  • 許可サービス・アカウント・入力区分・標準設定・事故窓口の5つを決めた
  • JDLAのひな形を土台に、13条項の構成で条文を作った
  • データ区分×利用環境の線引き表(別表2)を作り、法人契約の学習利用と保持期間を公式資料で確認した
  • 2023年のひな形に追加する8項目(対象者、プラン・アカウント、標準設定、連携、AIエージェント、SaaS内AI、運用)を反映した
  • 社内専用AI(ローカルLLM)を使う場合、用語を定義し、緩められない条項(出力確認・著作権・アクセス権・ログ)を残した
  • 経産省AI事業者ガイドラインのチェックリストで、責任者・教育・相談窓口・記録・見直しの漏れを点検した
  • 利用部門・システム担当・責任者の3人でレビューし、必要に応じて法務・社労士の確認を受けた
  • 本文と1枚の早見表、説明会を一組で公開した
  • 改訂責任者と次回見直し日(半年後)を決めた

まとめ

  • 利用規程はゼロから書かず、JDLAのひな形で条文を作り、経産省AI事業者ガイドラインのチェックリストで運用の漏れを点検する二段構えで作ります
  • 中核は「会社発行アカウントに限定する」と「入力してよい情報をデータ区分×利用環境の表で示す」の2点です
  • 2023年のひな形には、法人・個人プランの区別、標準設定、ファイル連携、AIエージェント、SaaS内AI、事故窓口など8項目を書き足します
  • 閉域のローカルLLMを加えると入力制限は緩められますが、出力確認・著作権・アクセス権・ログの条項は緩められず、推論サーバーの運用条項が新たに必要です
  • 本文と1枚の早見表、説明会を一組で出し、半年ごとに見直します。文書を作って終わりにしないことが、形骸化を防ぐ唯一の方法です

よくある質問

Q. 生成AIの利用規程はどのひな形を使えばよいですか?

JDLAの「生成AIの利用ガイドライン」第1.1版を土台にするのが最短です。組織向けの利用規程のひな形として、入力データの懸念事項、個人情報・秘密情報の入力、著作物の利用、出力の権利帰属を扱っています。JDLA自身が各組織の活用目的に照らして追加・修正する前提で公開しているため、社名だけ変えて配布するのではなく、自社の契約と実態に合わせて直します。経産省のAI事業者ガイドラインは規程のひな形ではなく、責任者・教育・記録などの運用を点検する資料として使います。

Q. 生成AIに入力してはいけない情報は何ですか?

一律には決まりません。データ区分と利用環境の組み合わせで決めます。私用アカウントでの業務利用はデータ区分にかかわらず禁止し、法人契約のクラウドAIは社内一般情報まで可、個人情報は利用目的の範囲内で可、NDAで外部送信を禁じられた情報や規制業種の機微情報は不可とするのが基本線です。社外送信が禁止された情報を扱う業務には、閉域のローカルLLMを公式ルートとして用意します。

Q. 法人契約なら何を入力しても安全ですか?

学習利用と保持は別です。法人契約・APIは主要4社とも学習利用なしを公式に明記していますが、たとえばOpenAI APIは不正監視ログを既定で最大30日保持します。保持期間と保存場所を確認したうえで、データ区分ごとに可否を決めてください。NDAで外部送信そのものを禁じられた情報は、学習利用の有無にかかわらず入力できません。

Q. ローカルLLMを導入すれば規程は不要になりますか?

不要にはなりません。入力してよい情報の制限は緩められますが、誤回答の確認、著作権、アクセス権、ログの条項はそのまま必要です。むしろ、社内文書を検索できる構成では部門別のアクセス権が厳しくなり、推論サーバーの運用条項が新たに加わります。「社内専用AI」を用語として定義し、線引き表に列を1本追加するのが最小の対応です。

Q. 規程を作るのにどれくらいかかりますか?

棚卸しと5つの判断が済んでいれば、ひな形の編集とレビューは数週間で終わります。時間がかかるのは条文の執筆ではなく、許可サービス・入力区分・標準設定・出力確認・事故窓口の5つを決める経営判断の部分です。先にこの5つを決めてから編集に入ると、手戻りが減ります。

Q. 規程はどのくらいの頻度で見直すべきですか?

半年ごとを目安にします。各社の利用規約は年に何度も改定され、契約済みのSaaSに新しいAI機能が追加されます。改訂責任者と次回見直し日を規程に書いておくと、担当者が替わっても止まりません。本文は短く保ち、サービス名や設定は別表に逃がしておくと、改訂のたびに本文を直さずに済みます。

主な参考資料: JDLA「生成AIの利用ガイドライン」、JDLA「『生成AIの利用ガイドライン』第1.1版を公開」、経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」、個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」、IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」、OpenAI API「Your data」、Anthropic Commercial Terms of Service、Microsoft Learn「Enterprise data protection in Microsoft Copilot」

TodoONadaでは、利用規程の整備と並行して、社外に出せないデータを扱う部門向けの「公認の道」として閉域のローカルLLMを用意する支援を行っています。機材を買う前に、DGX SparkやMacを貴社オフィスに設置して2週間で「置けるか」を判定する社内設置の実現性検証(30万円〜・税別・機材貸出料込み)を承っています。「規程のどの条項をローカルLLM前提で直せばよいか」という整理のご相談だけでも歓迎します。


この記事に関連するサービス

TodoONada株式会社では、シャドーAIの実態把握を起点にした企業向けの全社AI導入支援を行っています。法人プランの選定と統制の整備から、部門別の活用と研修、効果測定まで正しい順番で進めます。

ご相談はお問い合わせからお気軽にどうぞ。検討段階のご相談も歓迎です。

出典・参照

技術ブログ一覧へ戻る